提供:バイエル薬品株式会社
近年のがん医療の進歩により、がんと長く向き合えるようになりました。治療を続けながら、仕事や家庭での役割も担う患者さんたちが増えてきています。効果のある治療を長く続けるためには、副作用をもうまくマネジメントしていく必要がありますが、副作用には、「見える副作用」と「見えない副作用」があります。
今回は、「見えない副作用」を伝えるというテーマでお二人にお話を伺っていきます。
(この対談記録は、副作用マネジメントの啓発を目的としたものです)
小田村美歌:一般社団法人キャンサーペアレンツ・看護師 3年前に乳がんと診断され、手術、術後化学療法を経て現在は、ホルモン療法を行っています。
聞き手 川上祥子:がん情報サイト「オンコロ」 メディカルプランニングマネージャー
― これまで見えない副作用に関してお話を伺い、医療者は患者さんの見えない症状を引き出すことも重要であり、患者さんは上手く伝える必要があると思いました。先生に症状を伝える際に工夫していることはありますか?
西口:化学療法の点滴治療中に看護師さんに伝えていました。通院の際、待ち時間はすごく長くて診察時間は数分というのが一般的な状況ですが、抗がん剤の治療は、化学療法専用の部屋で数時間に及ぶ点滴をします。その間、担当看護師さんに、医師には伝えられていない副作用について話をしました。何気ない会話をしている中で、看護師さんが対処法を一緒に考えてくれたり、医師に伝えてくれました。化学療法中の時間は、医療者に生の声が伝わっていく貴重な時間でした。
ただ、今は、点滴から内服の薬に治療方針が変わりました。通院間隔が長くなり、毎週毎週のように困ったことを医療者に伝えるということが難しくなってきました。
先日も痺れが出たので、主治医に話したところ、「なんとか乗り切りましょう」ということまでしか話せませんでした。どう伝えたらいいか日々悩みながら治療を続けています。
小田村:今はアンケートを活用し、看護師さんとコミュニケーションを図っています。通院時に毎回症状についてのアンケートを渡されます。最初の頃は、言ってもしょうがないと思い、症状に丸をつけるのみで、具体的に伝えることをあまりしませんでした。
しかし、段々と副作用が重なり、追い詰められた時に、自分が辛いことや困っていることは、口に出さないと自分でも把握できず、医療者にも伝えることが出来ないと気づきました。その後は、アンケートに細かく記述したところ、看護師さんがそのコメントを読み、日常生活を送る上でのアドバイスをくれるようになり、コミュニケーションが生まれました。
― 伝えても仕方ないと思って、見えない副作用を伝えずにいる患者さんも多いと思いますが、伝えないと先生には分かってもらえません。短い診察時間の中で上手く伝えるために、事前にメモをするなどの工夫が必要かもしれません。また、副作用で実際に困っていることを具体的に伝える必要があるかもしれませんね。
― 小田村さんは、がんの治療後に看護師として現場に復帰して、医療者と患者、両方の立場の経験から、何か見えてきたものはありますか?
小田村:今までは医療の立場で、痛みや吐き気などの症状に関して聞きがちでしたが、自分の経験を踏まえて、患者さんが困っていることは何かと考える視点を持てたことが大きいです。その視点を持って患者さんとの会話を掘り下げなければ、本音を引き出すことが出来ないということに患者としての経験を得て気づかされました。
― 辛い副作用と向き合い、治療を止めたいと思ったことはありますか?
西口:止められるならば止めたいです。一日でも長く生きるために治療をしていますが、辛い状態が続き、生きていること自体が辛くなるのであれば何のための治療をしているのかと常に考えます。治療しなくても長く生きられるのであれば治療を止めたいと常に思っています。
― がん患者さんは患者としてではなく、一人の人として社会の中でさまざまな役割を担って生きています。その中で治療と向き合っていくためには、生活の中で自分が大事にしていることをよく考え、医療者とも共有して治療に向き合っていく必要があると思います。そのためにはコミュニケーションにも工夫が必要です。今回はお二人にたくさんのヒントをもらいました。ありがとうございました。
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