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術後ハーセプチン療法後HER2陽性乳がんに対するHer1, Her2, Her4阻害薬ネラチニブを1年間追加投与することで5年無浸潤疾患生存率が改善The Lancet Oncologyより

  • [公開日]2017.12.04
  • [最終更新日]2017.12.05

2017年11月13日、術後トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)療法後のHER2陽性乳がん患者に対するHER1、HER2、HER4を不可逆的に阻害する経口のチロシンキナーゼ阻害薬であるネラチニブ(商品名Nerlynx)単剤療法有効性を検証した第III相のExteNET試験(NCT00878709)の5年間解析結果が医学誌『The Lancet Oncology』にて公開された。

ExteNET試験とは、術後ハーセプチン療法後の再発転移を認めないHER2陽性乳がん患者(N=2840人)に対してNerlynx240mgを1年間投与する群(N=1420人)、プラセボを1年間投与する群(N=1420人)に無作為に1:1の割合で振り分け、主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(iDFS)を比較検証した国際多施設共同二重盲検下の第III相試験である。なお本論文公開以前に2年無浸潤疾患生存(iDFS)の結果が既に公開されており、プラセボ群よりもNerlynx群で改善する結果が得られている。

本試験のフォローアップ期間中央値5.2年間における5年無浸潤疾患生存(iDFS)イベント数は、Nerlynx群116人に対してプラセボ群163人(ハザード比0.73,95%信頼区間:0.57-0.92,P=.0083) 、5年無浸潤疾患生存率(iDFS)はNerlynx群90.2%に対してプラセボ群87.7%、以上の結果よりNerlynx群で統計学的有意に5年無浸潤疾患生存(iDFS)が改善することが証明された。

一方の安全生としては、最も一般的なグレード3の有害事象(AE)としては下痢、嘔吐、吐気が確認されNerlynx群、プラセボ群における発症率はそれぞれ下痢40%(N=561人)、2%(N=23人)、嘔吐3%(N=47人)、1%未満(N=5人)、吐気2%(N=26人)、1%未満(N=2人)であった。また、重篤な有害事象(AE)としてはNerlynx群で7%(N=103人)、プラセボ群で6%(N=85人)の患者で確認された。なお、Nerlynxを長期投与することで下痢の発症率が増加する明確な科学的根拠は現時点で確認されていない。

本試験の5年解析の有効性、安全性の結果を受けて、治験代表医師は以下のように述べている。”術後ハーセプチン療法後にNerlynx単剤療法を1年間追加投与することで、死亡する確率を上昇させる再発率を統計学的有意に改善することが分かりました。さらに、長期に渡ってNerlynx単剤療法を投与することで副作用が増加するリスクもありません。なお、全生存期間(OS)の解析結果はイベント数が248人に到達した時点で実施する予定です。”

Neratinib after trastuzumab-based adjuvant therapy in HER2-positive breast cancer (ExteNET): 5-year analysis of a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial(Lancet Oncol, Published: 13 November 2017)

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