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肝限局転移を有するRAS遺伝子野生型大腸がんに対するmFOLFOX6+アバスチン、mFOLFOX6+アービタックスに比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)に有意差なしASCO-GI2018より

  • [公開日]2018.03.05
  • [最終更新日]2018.03.05

2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のポスターセッションにて、肝限局転移を有するRAS遺伝子野生型大腸がん患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法、またはmFOLFOX6+セツキシマブ(商品名アービタックス;以下アービタックス)併用療法の有効性を比較検証した第II相のATOM試験(NCT01836653)の結果が東京医科歯科大学総合外科学分野・植竹宏之氏らにより公表された。

ATOM試験とは、肝転移巣が5個以上あるいは/かつ肝転移巣の最大径が5cmを超える肝限局転移を有するRAS遺伝子野生型大腸がん患者(N=120人)に対して2週間に1回の投与間隔でmFOLFOX6+アバスチン併用療法を投与する群、または2週間に1回の投与間隔でmFOLFOX6+アービタックス併用療法を投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として中央画像評価(IRC)による無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として奏効率(RR)、8週時点での腫瘍縮小率、肝切除率、全生存期間OS)、有害事象(AE)発現割合を比較検証したオープンラベルの第II相試験である。

なお、各治療の効果判定は8週毎に画像評価をしており、評価により肝切除可能であると判断した場合は肝切除をしている。ただし、初回画像評価時点で肝切除可能と判断された場合、原則8コースの治療を投与後に肝切除を実施している。

本試験の結果、主要評価項目である中央画像評価(IRC)による無増悪生存期間(PFS)中央値はmFOLFOX6+アバスチン併用療法群11.5ヶ月に対してmFOLFOX6+アービタックス併用療法群14.8ヶ月、両群間で有意差は確認されなかった(ハザード比=0.803,95%信頼区間:0.513-1.256,P=0.3333)。なお、肝転移巣個数別の無増悪生存期間(PFS)のサブグループ解析も実施されており、肝転移巣個数1-4個の患者群ではmFOLFOX6+アバスチン併用療法群に対するmFOLFOX6+アービタックス併用療法群のハザード比は 0.26(95%信頼区間:0.08-0.81)であった。

副次評価項目である奏効率(RR)はmFOLFOX6+アバスチン併用療法群68.4%に対してmFOLFOX6+アービタックス併用療法群84.7%(P=0.0483)、8週時点の腫瘍縮小率はそれぞれ25.3%、37.8%を示した(P<0.001)。

また肝切除率(R0,R1,R2)はmFOLFOX6+アバスチン併用療法群56.1%、mFOLFOX6+アービタックス併用療法群49.2%を示し、R0肝切除率においてはそれぞれ78.1%、75.9%であった。全生存期間(OS)中央値それぞれ30.4 カ月に対して未到達であり、mFOLFOX6+アバスチン併用療法群により死亡(OS)のリスクが17.3%(ハザード比:0.827,95%信頼区間:0.437-1.564,P=0.5576)減少するも両群間で有意差は確認されなかった。

一方の安全性としては、 最も一般的に確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球数減少であり、mFOLFOX6+アバスチン併用療法群36.8%、mFOLFOX6+アービタックス併用療法群50.8%の患者で確認された。その他、mFOLFOX6+アバスチン併用療法群ではグレード3または4の高血圧が15.8%、mFOLFOX6+アービタックス併用療法群ではグレード3または4の爪囲炎がざ瘡様皮膚炎が15.3%の患者で確認された。

A randomized phase II study of mFOLFOX6 plus bevacizumab versus mFOLFOX6 plus cetuximab for previously untreated, liver-limited metastatic colorectal cancer that is unsuitable for resection (ATOM trial).(ASCO-GI2018, Abstract No.734)

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