・胞巣状軟部肉腫を含む進行性転移性肉腫患者が対象の第2相試験
・キイトルーダ+インライタ併用療法の有効性・安全性を検証
・3ヶ月無増悪生存率は65.6%を示し、特に胞巣状軟部肉腫への効果が良好
2019年5月8日、医学誌『The Lancet Oncology』にて胞巣状軟部肉腫を含む進行性転移性肉腫(サルコーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬であるアキシチニブ(商品名インライタ;以下インライタ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02636725)の結果がUniversity of Colorado School of Medicine AuroraのBreelyn A Wilky氏らにより公表された。
本試験は、2016年4月より2018年2月の期間、米国・tertiary care academic medical centreにて胞巣状軟部肉腫を含む進行性転移性肉腫(サルコーマ)患者(N=36人)に対してキイトルーダ+インライタ併用療法を投与し、主要評価項目として3ヶ月無増悪生存率(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを検証した単施設シングルアームの第2相試験である。
本試験が実施された背景として、VEGFは免疫抑制性微小環境を促進し、がん細胞における免疫チェックポイント阻害剤耐性に寄与する可能性が示唆されている。そこで、 本試験ではVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブ、抗PD-1抗体薬キイトルーダの併用療法の有効性を検証している。
本試験のフォローアップ期間中央値14.7ヶ月(四分位範囲:10.1-19.1ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である3ヶ月無増悪生存率(PFS)は65.6%(95%信頼区間:46.6%-79.3%)を示した。なお、胞巣状軟部肉腫患者における3ヶ月無増悪生存率(PFS)は72.7%(95%信頼区間:37.1%-90.3%)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧15%(N=5/33人)、自己免疫毒性15%(N=5/33人)、吐き気・嘔吐6%(N=2/33人)、発作6%(N=2/33人)を示した。また、重篤な有害事象(SAE)は21%(N=7/33人)の患者で確認され、その内訳は自己免疫性大腸炎、トランスアミノミス、気胸、喀血、けいれん、高トリグリセリド血症であった。なお、治療関連有害事象(TRAE)により死亡は1人の患者でも確認されていない。
以上の第2相試験の結果よりBreelyn A Wilky氏らは以下のように結論を述べている。”胞巣状軟部肉腫を含む進行性転移性肉腫(サルコーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬インライタ併用療法は、忍容性に問題なく、良好な抗腫瘍効果を示しました。特に、胞巣状軟部肉腫に対する抗腫瘍効果は良好でした。”
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