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びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対する1stライン治療としてのDA-EPOCH-R併用療法、無増悪生存期間を統計学有意に改善せずJournal of Clinical Oncologyより

  • [公開日]2019.04.16
  • [最終更新日]2019.04.16
この記事の3つのポイント
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者が対象の第3相試験
ファーストライン治療としてのDA-EPOCH-R療法の有効性を比較検証
・R-CHOP併用療法に比べて無増悪生存期間全生存期間も統計学的有意な差はなかった

2019年4月2日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するファーストライン治療としてのDose adjusted-EPOCH-R療法の有効性を比較検証した第3相のAlliance/CALGB 50303試験(NCT00118209)の結果がWashington University School of MedicineのNancy L. Bartlett氏らにより公表された。

Alliance/CALGB 50303試験とは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者(N=524人)に対するファーストライン治療としてのエトポシド+プレドニゾロン+ビンクリスチン+シクロホスファミド+ドキソルビシン+リツキシマブ併用療法を投与する群(DA-EPOCH-R)、またはシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン+リツキシマブ併用療法を投与する群(R-CHOP)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、奏効率(RR)、安全性などを比較検証したランダム化第3相試験である。

本試験が実施された背景として、他の第II相試験にてびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するファーストライン治療としてのDA-EPOCH-R併用療法は、5年無増悪生存率(PFS)81%を示している。以上の背景より、第3相試験としてR-CHOP併用療法と比較したDA-EPOCH-R併用療法の有効性、安全性が本試験にて比較検証された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。

年齢中央値

DA-EPOCH-R群=58.0歳(19.0-84.0歳)
R-CHOP群=58.0歳(18.0-86.0歳)

性別

DA-EPOCH-R群=男性54.8%、女性45.2%
R-CHOP群=男性53.4%、女性46.6%

ECOG Performance Status

DA-EPOCH-R群=スコア0が46.9%、スコア1が39.8%、スコア2が13.3%
R-CHOP群=スコア0が40.6%、スコア1が47.8%、スコア2が11.6%

病期

DA-EPOCH-R群=ステージIが2.5%、ステージIIが20.3%、ステージIIIが25.4%、ステージIVが51.7%
R-CHOP群=ステージIが2.9%、ステージIIが21.8%、ステージIIIが29.2%、ステージIVが46.1%

IPIリスク

DA-EPOCH-R群=Lowが25.1%、Low-Intermediateが35.3%、High-Intermediateが26.0%、Highが13.6%
R-CHOP群=Lowが26.6%、Low-Intermediateが38.6%、High-Intermediateが24.9%、Highが10.0%

以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値5.2年時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である2年無増悪生存率、5年無増悪生存率はそれぞれDA-EPOCH-R群78.9%、68.0%に対してR-CHOP群75.5%、66.0%を示した。そして、病勢進行または死亡(PFS)のリスクは両群間で統計学有意な差はなかった(HR:0.93,95%信頼区間:0.68-1.27,P=0.65)。

副次評価項目である5年全生存率(OS)はDA-EPOCH-R群77.5%に対してR-CHOP群78.5%を示し、死亡(OS)のリスクは両群間で統計学有意な差はなかった(HR:1.09,95%信頼区間:0.75-1.59,P=0.64)。また、客観的奏効率(ORR)はDA-EPOCH-R群86.7%に対してR-CHOP群88.0%、完全奏効率(CR)はDA-EPOCH-R群58.5%に対してR-CHOP群59.6%を示した。

一方の安全性として、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はDA-EPOCH-R群78.2%に対してR-CHOP群98.3%、血液関連のグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はDA-EPOCH-R群97.5%に対してR-CHOP群73.7%、非血液関連のグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はDA-EPOCH-R群72.2%に対してR-CHOP群43.2%を示した。

以上のAlliance/CALGB 50303試験の結果よりNancy L. Bartlett氏らは以下のように結論を述べている。”びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するファーストライン治療としてのDA-EPOCH-R併用療法は、R-CHOP併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)も統計学的有意な差はなく、治療関連有害事象(TRAE)発症率は高率でした。”

Dose-Adjusted EPOCH-R Compared With R-CHOP as Frontline Therapy for Diffuse Large B-Cell Lymphoma: Clinical Outcomes of the Phase III Intergroup Trial Alliance/CALGB 50303(mEGA).(Journal of Clinical Oncology, Published online April 02, 2019.)

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