・CMSが転移性大腸がんの予後に与える影響を検証
・FOLFIRI/mFOLFOX6+アバスチンまたはFOLFIRI/mFOLFOX6+アービタックス併用療法を投与
・CMSに基づく分類で、どの分子標的薬で治療の恩恵を受けられるかを特定できる可能性
2019年5月1日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてCMSが転移性大腸がんの予後に与える影響を第3相のCALGB80405試験に基づいて検証した結果がUniversity of Southern California Norris Comprehensive Cancer CenterのHeinz-Josef Lenz氏らより公表された。
CMSとはConsensus Molecular Subtypingの略称。従来の遺伝子発現に基づいた大腸がんの分類で生じる矛盾点を解決し、トランスレーショナル研究を促進するために提唱された概念である。CMSsはCMS1(マイクロサテライト不安定[MSI]の免疫型)、CMS2(標準型)、CMS3(代謝型)、CMS4(間葉型)の4つのコンセンサス分子サブタイプに分類している。
また、CALGB80405試験とはKRAS野生型切除不能進行再発発大腸がん患者に対するファーストライン治療としてFOLFIRI/mFOLFOX6+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法を投与する群、またはFOLFIRI/mFOLFOX6+セツキシマブ(商品名アービタックス;以下アービタックス)併用療法を投与する群に無作為に振り分け、評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)などを比較検証した第3相試験である。本解析ではCALGB80405試験に登録した581人の患者を対象にしてCMSsと予後の関係性について比較検証している。
本試験が実施された背景として、原発腫瘍における遺伝子の特徴をCMSsにより分類し、それぞれの予後予測因子を特定するためである。また、各分子サブタイプ別の最適な治療法を特定するためである。
本試験の結果、CMSsは全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)の両指標の予後予測因子になる可能性が示唆された。また、CMS1患者群における全生存期間(OS)中央値はFOLFIRI/mFOLFOX6+アービタックス併用療法群に比べてFOLFIRI/mFOLFOX6+アバスチン併用療法群で統計学的有意に改善した(P<0.001)。一方で、CMS2患者群における全生存期間(OS)中央値はFOLFIRI/mFOLFOX6+アバスチン併用療法群に比べてFOLFIRI/mFOLFOX6+アービタックス併用療法群で統計学的有意に改善した(P=0.0046)。
以上のCALGB80405試験に基づくCMSs解析の結果よりHeinz-Josef Lenz氏らは以下のように結論を述べている。”転移性大腸がん患者をCMSsに基づいて分類することにより、患者がどの分子標的治療薬により治療恩恵を受けられるを特定できる可能性が示唆されました。”
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