・未治療のEGFR陽性の非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・ジオトリフ+アービタックス併用療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間はジオトリフ単剤群の13.4ヵ月に対して、併用群は11.9ヵ月だった
2020年10月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のEGFR陽性の非小細胞肺がん患者に対するファーストラインとしてのEGFR阻害薬であるジオトリフ(一般名:アファチニブ、以下ジオトリフ)+抗EGFRモノクローナル抗体薬であるアービタックス(一般名:セツキシマブ、以下アービタックス)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02438722)の結果がYale School of MedicineのSarah B. Goldberg氏らにより公表された。
本試験は、未治療のEGFR陽性の非小細胞肺がん患者(N=168人)に対して4週を1サイクルとして1日1回ジオトリフ40mgと1日目、15日目にアービタックス500mg/m2を投与する群(N=85人)、または1日1回ジオトリフ40mg単剤を投与する群(N=83人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として奏効率(RR)、全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した多施設共同ランダム化の第2相試験である。
EGFR阻害薬に耐性のあるEGFR陽性の非小細胞肺がん患者に対してEGFR阻害薬ジオトリフ+抗EGFRモノクローナル抗体薬アービタックスは、ジオトリフをはじめEGFR阻害薬単剤療法に比べて抗腫瘍効果が優れることが非臨床試験にて証明されている。以上の背景より、未治療のEGFR陽性の非小細胞肺がん患者に対するファーストラインとしてのジオトリフ+アービタックス併用療法の有用性が本試験にて検証された。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、ジオトリフ+アービタックス併用群の11.9ヵ月に対してジオトリフ単剤群で13.4ヵ月と、ジオトリフ+アービタックス併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが1%の増加を示した(HR:1.01、95%信頼区間:0.72-1.43、P=0.94)。
副次評価項目である奏効率(RR)は、ジオトリフ+アービタックス併用群の67%に対してジオトリフ単剤群で74%(P=0.38)を示した。また、全生存期間(OS)はジオトリフ+アービタックス併用群で死亡(OS)のリスクを18%減少(HR:0.82、95%信頼区間:0.50-1.36、P=0.44)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はジオトリフ+アービタックス併用群72%に対してジオトリフ単剤群40%を示した。また、治療関連有害事象(TRAE)によりジオトリフ+アービタックス併用群30%の患者が治療中止に至った。
以上の第2相試験の結果よりSarah B. Goldberg氏らは「EGFR阻害薬ジオトリフ+抗EGFRモノクローナル抗体薬アービタックス併用療法は、未治療のEGFR陽性の非小細胞肺がん患者に対するファーストラインとして、無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しませんでした」と結論を述べている。
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