・切除可能な非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・術前補助療法としてオプジーボ+化学療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・病理学的完全奏効率はオプジーボ+化学療法群で24.0%と、化学療法群の2.2%と比べて統計学的有意に高率だった
2021年4月9日~14日、オンラインミーティングで開催された米国癌研究会(AACR 2021)にて、切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前補助療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+化学療法と化学療法を比較検証した第3相のCheckMate 816試験(NCT02998528)の結果がJohns Hopkins Kimmel Cancer CenterのPatrick M. Forde氏らにより公表された。
CheckMate 816試験とは、切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前補助療法として3週を1サイクルとしてオプジーボ360mg+プラチナ製剤を含む化学療法を最大3サイクル投与する群(N=179人)と3週を1サイクルとしてプラチナ製剤を含む化学療法を最大3サイクル投与する群(N=179人)に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効(pCR)、無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、Major Pathological Response(MPR)、死亡または遠隔転移までの期間を比較検証した多施設共同無作為化非盲検の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、非転移非小細胞肺がんは手術により根治的治療が可能であるが、約30~80%の患者で再発を経験する。そのため、再発リスクの高い患者に対しては術前、術後化学療法が推奨されているが、その臨床的ベネフィットは高率ではない。近年、第2相試験にて切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前補助療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法、化学療法併用療法は臨床的意義のある病理学的完全奏効(pCR)を示すことが確認されている。以上の背景より、切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前補助療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+化学療法と化学療法の有用性を比較検証した本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)は、オプジーボ+化学療法群24.0%、化学療法群2.2%であり、化学療法群に比べてオプジーボ+化学療法群で統計学的有意に高率であった(OR:13.94、99%信頼区間:3.49-55.75、P<0.0001)。
また、サブグループ解析の結果、ステージ分類別では、ステージIB/II群での病理学的完全奏効(pCR)はオプジーボ+化学療法群26.2%に対して化学療法群4.8%、ステージIIIA以上群ではオプジーボ+化学療法群23.0%に対して化学療法群0.9%、PD-L1陰性(1%未満)ではオプジーボ+化学療法群16.7%に対して化学療法群2.6%、PD-L1陽性(1%以上)ではオプジーボ+化学療法群32.6%に対して化学療法群2.2%を示した。
副次評価項目であるMajor Pathological Response(MPR)は、オプジーボ+化学療法群36.9%に対して化学療法群8.9%、客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+化学療法群53.6%に対して化学療法群37.4%を示した。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+化学療法群33.5%に対して化学療法群36.9%、グレード3~4の手術関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+化学療法群11.4%に対して化学療法群14.8%を示した。
以上のCheckMate 816試験の結果よりPatrick M. Forde氏らは「切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前補助療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+化学療法は、化学療法単独に比べて病理学的完全奏効(pCR)を統計学的有意に改善することを初めて示した第3相試験となりました」と結論を述べている。
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