・早期トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第2相試験
・術前化学療法としてのイミフィンジ+化学療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・病理学的完全奏効率53.4%であり、プラセボ群44.2%に対して高率であった
2021年6月4日(金)~8日(火)、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にて早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、イミフィンジ)+ナブパクリタキセル併用療法後のイミフィンジ+EC(エピルビシン+シクロホスファミド)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のGeparNuevo試験(NCT02685059)の結果がUniversity Hospital and German Cancer Research Center HeidelbergのSibylle Loibl氏らにより公表された。
GeparNuevo試験は、早期トリプルネガティブ乳がん患者(N=174人)に対する術前化学療法として1週を1サイクルとしてイミフィンジ0.75g+ナブパクリタキセル125mg/m2併用療法を12サイクル投与後、2週を1サイクルとしてイミフィンジ0.75g+エピルビシン90mg/m2+シクロホスファミド600mg/m2併用療法を4サイクル投与する群、または術前化学療法として1週を1サイクルとしてプラセボ+ナブパクリタキセル併用療法を12サイクル投与後、2週を1サイクルとしてプラセボ+エピルビシン+シクロホスファミド併用療法を4サイクル投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)、副次評価項目として無浸潤疾患生存期間(iDFS)、無遠隔転移生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)などを比較検証した二重盲検下ランダム化第2相試験である。
本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)はイミフィンジ群の53.4%に対してプラセボ群で44.2%と、イミフィンジ群で高率(OR:1.45、95%信頼区間:0.80-2.63、P=0.224)であった。
本試験のフォローアップ期間中央値42.2ヶ月時点における副次評価項目としての3年無浸潤疾患生存率(iDFS)はイミフィンジ群の84.9%に対してプラセボ群で76.9%を示した(HR:0.54、95%信頼区間:0.27-1.09、P=0.0559)。また、奏効別の3年無浸潤疾患生存率(iDFS)は病理学的完全奏効(pCR)を達成した群で92.0%であったのに対して病理学的完全奏効(pCR)を達成しなかった群では71.9%を示した(P=0.002)。
3年無遠隔転移生存率(DDFS)はイミフィンジ群の91.4%に対してプラセボ群で79.5%を示した(HR:0.37、95%信頼区間:0.15-0.87、P=0.0148)。3年全生存率(OS)はイミフィンジ群の95.1%に対してプラセボ群で83.1%を示した(HR:0.26、95%信頼区間:0.09-0.79、P=0.0076)。
以上のGeparNuevo試験の結果よりSibylle Loibl氏らは「早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法として化学療法への抗PD-L1抗体薬イミフィンジの上乗せ効果は、病理学的完全奏効率(pCR)においては僅かな差の改善ではありましたが、長期的に予後を改善することが確認されました」と結論を述べている。
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