・治療歴のあるHER2陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は29%、病勢安定率は58%を示した
2022年1月24日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療歴のあるHER2陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する抗HER2モノクローナル抗体であるトラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のIFCT-1703 R2D2試験(NCT03845270)の結果がUniversité Paul SabatierのJulien Mazieres氏らにより公表された。
IFCT-1703 R2D2試験は、プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法後に病勢進行したHER2陽性の進行性非小細胞肺がん患者(N=45人)に対して3週を1サイクルとしてトラスツズマブ6mg/kg(初回用量は8mg/kg)+ペルツズマブ420mg(初回用量は840mg)+ドセタキセル75mg/m2併用療法を実施し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、その他評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などを検証した多施設共同非ランダム化の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、HER2 exon 20挿入変異陽性率は非小細胞肺がんの約1~2%であり、この遺伝子変異を標的にした治療薬は現在承認されていない。以上の背景より、他の臨床試験にてこの標的に対して抗腫瘍効果が確認されている抗HER2モノクローナル抗体の併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者の年齢中央値は64.5歳(31~84歳)。喫煙者が35%。性別は、女性が72%。ECOG Performance Statusスコアは、2が15%。脳転移のある患者が30%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は29%(N=13人)、病勢安定率(SD)は58%(N=26人)を示した。その他評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は6.8ヶ月(95%信頼区間:4.0~8.5ヶ月)、奏効持続期間(DOR)中央値は11ヶ月(95%信頼区間:2.9~14.9ヶ月)を示した。
一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は64%、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率率は0%であった。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、好中球減少症が33%、下痢が13%、貧血が9%であった。
以上のIFCT-1703 R2D2試験の結果よりJulien Mazieres氏らは「治療歴のあるHER2陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する抗HER2モノクローナル抗体トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル併用療法は良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした。本疾患に対する抗HER2モノクローナル抗体の併用は、治療選択肢として考慮されるべきでしょう」と結論を述べている。
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