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フェソロデックスを越えるSERD製品を求めてEvaluate Vantage(2021.07.26)より

  • [公開日]2021.08.06
  • [最終更新日]2021.08.06

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)は、臨床データの報告が出てくる重要な時期として注目されている。

先週行われた米Arvinas社と米ファイザー社とのライセンス契約は、株式を含めれば10億ドルの価値があり、エストロゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性乳がんの治療法として選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)が復活したことを改めて強調した。また、ファイザー社は最も進んだ企業ではないが、この分野への進出はここ数年で3回目である。

現在のSERDのリーダーである仏サノフィ社と米RadiusHealth社(Radius社)は、この治療領域に参入する可能性のある新規参入者に注目している。特に、サノフィ社が最近(臨床試験のデータ公表を)延期したことで、今後数ヶ月間がこの作用機序を検証する重要なデータを得るための鍵となる可能性がある。

SERDの作用機序は、すでに英アストラゼネカ社のフェソロデックス(一般名:フルベストラント)によって一部検証されていると指摘する人もいるだろう。フェソロデックスは、有効性はあるものの、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が低く、筋肉内への投与が難しいSERDである。その欠点にもかかわらず、フェソロデックスはブロックバスターとなり、さらに優れた薬剤の市場がどれほど大きいかを示した。

最近まで、サノフィ社のアムセネストラントに注目が集まっていた。ER+ Her2乳がんの三次治療を対象とした第2相「Ameera-3試験」は第2四半期に結果が出て、すぐに米国での申請が可能になる可能性があった。

しかし、Ameera-3試験のリードアウトは第3四半期にずれ込み、Radius社と伊Menarini社が実施したエラセストラントの「エメラルド試験」と同程度の結果となった。また、サノフィ社は、術前の一次治療患者を対象とした「Ameera-4試験」をひそかに中止したが、これは、アジュバント療法の新たな試験である「Ameera-6試験」を開始することを決定したためと思われる。

Ameera-3試験では、CDK4/6阻害薬の影響、およびホルモン療法耐性メカニズムであるESR1遺伝子変異の影響の可能性について、多くの議論が交わされた。サノフィ社は全症例の無増悪生存期間PFS)を評価しているが、Radius社はESR1変異患者と全症例のPFSをコプライマリーエンドポイントに設定している。

いずれにしても、ファイザー社はArvinas社のアプローチに参入する機会を得たと思われる。アムセネストラントやエラクセトラントの効果が不十分な場合、Arvinas社の初期データが非常に重要になる可能性がある。この結果は、2021年12月に開催されるサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表される予定だ。

7月22日、Arvinas社が開発した最先端のタンパク質分解誘導キメラタンパク質(PROTAC)でSERDであるARV-471の権利に対して、ファイザー社は6億5000万ドルの契約一時金と3億5000万ドルというプレミアム価格での株式投資を行った。米エバーコアISI社はPROTACを複数回の分解を引き起こすことができ、受容体の占有に左右されないヘテロ機能性分子であると説明している。

7月22日に9%、その翌日に13%上昇と、Arvinas社の株価がやや落ち着いた動きを見せたのは、同社が開発費の半分を出資することを約束したからかもしれない(もちろん、利益配分は50%だ)。あるいは、完全な買収が行われなかったことに投資家が多少落胆したのかもしれない。

SERDへのさらなるアプローチ

いずれにせよ、今回の取引は、ファイザー社にとってこの分野への新たな進出となった。ファイザー社は2018年に米Zentalis社と、同社のSERDであるZN-c5とファイザー社のCDK4/6阻害剤イブランス(一般名:パルボシクリブ)との併用を目的とした共同研究に調印した。さらに2020年11月には、バイオテックが“完全なER拮抗薬とSERD”と評する米Olema社のOP-1250に関して、同様の臨床試験の提携を結んだ。

OP-1250はまだ臨床データが得られていないが、今年後半には期待されている。一方、ZN-c5は最近、150〜300mgを投与された21人の患者のうち2人が寛解した。しかし、Zentalis社によると、第2相試験での投与量は50mgになる可能性があり、まだ有効性は示されていない。これは、治療濃度域の欠如がZN-c5単剤療法の可能性を阻んでいることを示唆している。

昨年12月、Arvinas社は21名の被験者から得られた初期データを報告し、1サイクルの単剤治療で3例の部分寛解を示したが、個別に確認できたのはそのうちの1例だけだった。先週の契約は、ファイザーはSERDのメカニズムを気に入っているが、Olema社やZentalis社が開発した分子には納得していないという見立てもできる。

■出典
The search for a better Faslodex continues

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