・ハイリスクのある早期トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第1b相試験
・術前化学療法としてのキイトルーダ+化学療法の有効性・安全性を検証
・病理学的完全奏効率は60%、12ヶ月無イベント生存率は80%、12ヶ月全生存率は100%を示した
2020年2月14日、医学誌『Annals of Oncology』にてハイリスクのある早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるペンブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+化学療法の有効性、安全性を検証した第1b相のMK-3475-173/KEYNOTE173試験(NCT02622074)の結果がBarts Cancer InstituteのP. Schmid氏らにより公表された。
本試験は、ハイリスクのある早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としてキイトルーダ+タキサン系抗がん剤±カルボプラチン併用療法を12週間後、キイトルーダ+ドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法を12週投与後に手術を実施し、主要評価項目として第2相試験推奨用量(RPIID)、副次評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)、無イベント生存率(EFS)、全生存率(OS)などを検証した第1b相試験である。
本試験の結果、用量制限毒性(DLT)は60人の患者の内22人で確認され、最も多くの患者で確認された用量制限毒性(DLT)は発熱性好中球減少症(N=9人)であった。また、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症73%であった。
一方の有効性として、副次評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)は60%(30%-80%)、12ヶ月無イベント生存率(EFS)は80%、12ヶ月全生存率(OS)は100%をそれぞれ示した。なお、治療開始前のPD-L1高発現、治療開始前/治療中の腫瘍浸潤リンパ球(TILs)数は病理学的完全奏効率(pCR)の高さに統計学有意に関連していた(P=0.0127,0.0059,0.0085)。
以上のMK-3475-173/KEYNOTE 173試験の結果よりP. Schmid氏らは以下のように結論を述べている。”ハイリスクのある早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法は、忍容性も良好であり。臨床的期待のできる抗腫瘍効果を示しました。”
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