2020年9月24日、医学誌『The Lancet Oncology』にて切除可能局所進行性(ステージIIIA)非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+化学療法の有効性、安全性を検証した第2相のNADIM試験(NCT03081689)の結果がHospital Universitario Puerta de Hierro-MajadahondaのMariano Provencio氏らにより公表された。
NADIM試験とは、局所進行性(ステージIIIA)非小細胞肺がん患者(N=46人)に対して21日を1サイクルとしてオプジーボ360mg+パクリタキセル200mg/m2+カルボプラチン6AUC併用療法を3サイクル投与し、術後化学療法として2週ごとにオプジーボ240mg単剤療法を4ヵ月、4週ごとにオプジーボ480mg単剤療法を8ヵ月投与し、主要評価項目として24ヵ月無増悪生存率(PFS)、副次評価項目として安全性などを検証した多施設共同シングルアームの第2相試験である。
非小細胞肺がんは局所進行性の段階でほとんどの患者が末期に該当する。しかしながら、局所進行性段階であっても治癒する可能性がある。以上の背景より、切除可能局所進行性(ステージIIIA)非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボの上乗せ効果を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値24.0ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である24ヵ月無増悪生存率(PFS)は77.1%(95%信頼区間:59.9%-87.7%)を示した。
一方の安全性として、術前化学療法後の全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は93%(N=43人)、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は30%(N=14人)を示した。なお、治療関連有害事象(TRAE)による手術遅延、死亡は1人の患者でも確認されなかった。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はリパーゼ増加7%(N=3人)、発熱性好中球減少症7%(N=3人)であった。
NADIM試験の結果よりMariano Provencio氏らは「切除可能局所進行性(ステージIIIA)非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法に対する抗PD-1抗体薬オプジーボの上乗せ効果が本試験より確認されました。本治療は、切除可能局所進行性非小細胞肺がんによる死亡リスクを軽減させる可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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