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化学(薬物)療法の副作用
抗がん剤の点滴中か24時間以内に現れる吐き気、アレルギー反応、血管痛、3日~2週間後に現れる骨髄抑制、口内炎、下痢、全身倦怠感が要注意です。脱毛、間質性肺炎、涙目など1か月以上経ってから出る副作用もあります。
薬物療法の副作用の種類、症状の強さと出現時期は、使う薬によって違いますし、また患者さんによっても個人差があります。副作用に対処する薬の開発などが進み、つらい副作用はかなりコントロールできるようになってきています。副作用を恐れて勝手に薬物療法を中断しないようにしましょう。
すい臓がんの薬物療法で取り上げた※①~⑤の標準療法のうち、①②④⑤で、特に注意しなければいけない副作用は、血液中でウイルスや細菌から体を守る役割を果たしている白血球や好中球、血小板などが減少する骨髄抑制です。多くの場合、自覚症状はありませんが、薬物の投与後、通常3日~1週間で骨髄抑制が起こり始めます。
③では食欲不振、下痢のほか、肝機能障害、消化管出血に注意が必要です。④⑤で、手足のしびれ感など末梢神経障害が出たときは減薬や休薬を検討します。 ①~④では、脱毛は比較的少ないのですが、⑤では治療開始2~3週間後から脱毛する人が多くなります。ほとんどの場合、治療後は1~2か月で発毛し、徐々に元の状態に戻ります。
神経内分泌腫瘍で使うスニチニブは手足が腫れたり皮膚が乾燥してはがれたりする手足症候群、高血圧、下痢、骨髄抑制、エベロリムスでは間質性肺炎、発疹、爪の障害に、ストレプトゾシンは腎機能障害、糖代謝異常など注意します。
副作用には自分で対処でき、ある程度我慢してよいものと、我慢せずに、すぐに病院へ連絡したほうがよいものがあります。薬物療法を受ける際には副作用の対処法と、どういうときに病院へ連絡すべきかを必ず確認しておきましょう。
※【5種類の標準化学(薬物)療法】①点滴で投与するゲムシタビンの単独療法②ゲムシタビンとエルロチニブの併用療法③内服薬のS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)単独療法④FOLFIRINOX(オキサリプラチン、イリノテカン、フルオロウラシル/5‐FU、ロイコボリンカルシウム併用)療法⑤ゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用療法
本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2017年10月に出版した「もっと知ってほしい膵臓がんのこと」より抜粋・転記しております。