・BOLERO-6試験とは、エストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対してエキセメスタン+エベロリムス併用療法、エベロリムス単剤療法、カペシタビン単剤療法の有効性を比較検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目であるエキセメスタン+エベロリムス併用療法、エベロリムス単剤療法における無増悪生存期間(PFS)のハザード比は、エキセメスタン+エベロリムス併用療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを26%減少した
・本試験の重要な副次評価項目であるエキセメスタン+エベロリムス併用療法、カペシタビン単剤療法における無増悪生存期間(PFS)のハザード比は、エキセメスタン+エベロリムス併用療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを26%増加した
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、エストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するエキセメスタン+エベロリムス併用療法、エベロリムス単剤療法、カペシタビン単剤療法の有効性を比較検証した第II相のBOLERO-6試験(NCT01783444)の結果がCHU Sart Tilman Liège and Liège University・Guy Heinrich Maria Jerusalem氏らにより公表された。
BOLERO-6試験とは、エストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者(N=309人)に対して1日1回エキセメスタン25mg+1日1回エベロリムス10mg併用療法を投与する群(N=104人)、1日1回エベロリムス10mg単剤療法を投与する群(N=103人)、1日2回カペシタビン1250mg/m2投与する群(N=102人)に1対1対1の割合で振り分け、主要評価項目としてエキセメスタン+エベロリムス併用療法、エベロリムス単剤療法における無増悪生存期間(PFS)のハザード比、重要な副次評価項目としてエキセメスタン+エベロリムス併用療法、カペシタビン単剤療法における無増悪生存期間(PFS)のハザード比、その他副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した第II相試験である。
本試験の無作為化時点からのフォローアップ期間中央値37.6ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるエキセメスタン+エベロリムス併用療法、エベロリムス単剤療法における無増悪生存期間(PFS)のハザード比は、エキセメスタン+エベロリムス併用療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを26%減少(ハザード比:0.76;90%信頼区間:0.57–0.97)した。
重要な副次評価項目であるエキセメスタン+エベロリムス併用療法、カペシタビン単剤療法における無増悪生存期間(PFS)のハザード比は、エキセメスタン+エベロリムス併用療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを26%増加(ハザード比:1.26;90%信頼区間:0.96–1.66)した。なお、エキセメスタン+エベロリムス併用療法、カペシタビン単剤療法の両群間において患者背景の相違があり、カペシタビン単剤療法群で若年者(65歳未満)、骨転移のみの患者などが高率であった。
その他副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はエキセメスタン+エベロリムス併用療法群23.1ヶ月、エベロリムス単剤療法29.3ヶ月(ハザード比:1.27;90%信頼区間:0.95–1.70)、カペシタビン単剤療法25.6ヶ月(ハザード比:1.33;90%信頼区間:0.99–1.79)であった。
以上のBOLERO-6試験の結果よりGuy Heinrich Maria Jerusalem氏らは以下のように結論を述べている。”エストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するエキセメスタン+エベロリムス併用療法はエベロリムス単剤療法よりも病勢進行または死亡(PFS)のリスクを減少しました。一方、エキセメスタン+エベロリムス併用療法はカペシタビン単剤療法よりも病勢進行または死亡(PFS)のリスクを増加させましたが、この理由は両群間における患者背景の違いであった可能性があります。”
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