・EGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・二次治療としてのタグリッソ+アバスチン併用療法の有効性・安全性をタグリッソ単剤療法と比較検証
・無増悪生存期間は15.4ヶ月を示し、タグリッソ単剤(12.3ヶ月)に対し統計学的有意差は認めなかった
2021年11月25日、医学誌『Annals of Oncology』にてEGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する二次治療としてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるタグリッソ(一般名:オシメルチニブ、以下タグリッソ)+抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるアバスチン(一般名:ベバシズマブ、以下アバスチン)併用療法、タグリッソ単剤療法を比較検証した第2相のBOOSTER試験の結果がNational University Cancer InstituteのR.A. Soo氏らにより公表された。
BOOSTER試験とは、EGFR阻害薬に抵抗性を示したEGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者(N=155人)に対する二次治療として1日1回タグリッソ80mg+3週を1サイクルとしてベバシズマブ15mg/kg併用療法を投与する群(N=78人)、または1日1回タグリッソ80mg単剤療法を投与する群(N=77人)に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、有害事象(AE)発症率を比較検証した第2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値33.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、タグリッソ+アバスチン併用群の15.4ヶ月(95%信頼区間:9.2-18.0ヶ月)に対してタグリッソ単剤群で12.3ヶ月(95%信頼区間:6.2-17.2ヶ月)を示し、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR=0.96、95%信頼区間:0.68-1.37、P=0.83)。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は、タグリッソ+アバスチン併用群の24.0ヶ月(95%信頼区間:17.8-32.1ヶ月)に対してタグリッソ単剤群で24.3ヶ月(95%信頼区間:16.9-37.0ヶ月)であり、タグリッソ+アバスチン併用療法で死亡リスク(OS)が3%増加した(HR=1.03、95%信頼区間:0.67-1.56)。
客観的奏効率(ORR)は、タグリッソ+アバスチン併用群の55%に対して、タグリッソ単剤群で55%を示した。治療成功期間(Time to Treatment Failure)中央値は、タグリッソ+アバスチン併用群の8.2ヶ月に対してタグリッソ単剤群で10.8ヶ月(P=0.0074)を示し、タグリッソ+アバスチン併用群で治療成功期間中央値が短縮した。一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、タグリッソ+アバスチン併用群の47%に対してタグリッソ単剤群で18%を示した。
以上のBOOSTER試験の結果よりR.A. Soo氏らは「EGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する二次治療としてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬タグリッソ+抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ併用療法、タグリッソ単剤療法の無増悪生存期間(PFS)改善効果は同等でした。また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はタグリッソ+ベバシズマブ併用群で効率でした」と結論を述べている。
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